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最初に、検索でここに来たあなたの誤解を解きます。「創業補助金」という名前の単一の国の制度は、現在は存在しません。かつてあった国の「創業補助金(創業・第二創業促進補助金)」は既に廃止されています。
では創業者は返済不要のお金をあきらめるしかないのか——そうではありません。今は「国の補助金+都道府県の助成金+市区町村の支援+融資の優遇」を組み合わせて取りにいく時代です。この記事で、その全体地図と申請の正しい順序を描きます。
この記事で得られること
– 「創業補助金」の誤解を解いた上での、国/都道府県/市区町村/融資優遇の4層の全体地図
– 特定創業支援等事業を起点にした申請の正しい順序(登録免許税半減→補助金要件の充足。時系列図解つき)
– 東京都創業助成(上限400万円・第2回2026/9/29〜10/8受付)の確定日程と、持続化補助金〈創業型〉第4回の最新状況(公式出典つき)
– 「返済不要」の裏にある後払い・課税・競争審査という現実と、資金計画の組み方結論を先に
1. 「創業補助金」という単一制度は無い。4層の地図から自分のステージに合う制度を選ぶ
2. 起点は市区町村の特定創業支援等事業。登録免許税半減(株式会社15万円→7.5万円)や持続化補助金〈創業型〉の要件充足など、複数の優遇がここから連動する
3. 補助金は後払い。自己資金と融資で開業し、補助金は後から戻る順序で設計する
「創業補助金」という単一制度は現在ありません
国の「創業補助金」は2010年代に存在した制度で、名称変更と統廃合を経て廃止されました。それでも検索する人が多いため、この名前を冠した解説記事が今も量産されています。しかし現在の正しい探し方は、制度名を探すことではなく、4つの層から自分に合うものを選ぶことです。

- 第1層 国の補助金: 小規模事業者持続化補助金の〈創業型〉が創業者の本命
- 第2層 都道府県の助成金: 東京都創業助成事業(上限400万円)が代表格。各県に類似制度
- 第3層 市区町村の支援: 特定創業支援等事業と自治体独自の補助。すべての優遇の入口
- 第4層 融資の優遇: 日本政策金融公庫の特別利率・信用保証の特例。返済はあるが確実性が高い
お住まいの都道府県の制度は補助金データベースの都道府県検索で探せます。東京都以外の読者は、この記事で「型」を掴んでから地元の制度に当てはめてください。
まず30秒で整理:補助金・助成金・給付金・融資の違い
「返済不要のお金」と一括りにされがちな4つは、仕組みがまったく違います。
| 種類 | 審査 | 主な出し手 | 返済 | 受け取り時期 |
|---|---|---|---|---|
| 補助金 | 競争審査(落ちる) | 経済産業省系・自治体 | 不要 | 後払い(事業実施後) |
| 助成金 | 要件を満たせば原則支給 | 厚生労働省系 | 不要 | 後払い |
| 給付金 | 要件確認 | 国・自治体 | 不要 | 申請後 |
| 融資 | 審査あり | 公庫・銀行 | 必要 | 先に受け取れる |
押さえるべき現実は2つです。第一に、補助金・助成金は先にお金がもらえるわけではなく、自分で立て替えた経費の一部が後から戻る仕組みだということ。第二に、返済不要でも法人税・所得税の課税対象になるということです(消費税は不課税)。税金の扱いは補助金と税金の記事で詳しく解説しています。
【2026年版】創業期に使える主要制度マップ(早見表)
| 制度 | 上限額 | 補助率・助成率 | 対象 | 次回日程 |
|---|---|---|---|---|
| 持続化補助金〈創業型〉 | 200万円(インボイス特例で250万円) | 2/3 | 特定創業支援等事業の支援を受けた創業者 | 第4回: 締切2026/12/15で確定(受付開始日は準備中。公式サイトで随時確認) |
| 東京都 創業助成事業 | 400万円(下限100万円) | 2/3以内 | 都内で創業予定〜創業5年未満 | 第2回: 2026/9/29〜10/8受付 |
| 地方の起業支援金・移住支援金 | 200万円+移住で最大100万円 | 1/2等 | 東京圏からの移住・地方での社会的起業等 | 各道府県で随時 |
| 東京都 若手・女性リーダー応援プログラム | 最大844万円 | – | 商店街で開業する女性・39歳以下の男性 | 年度内複数回 |
| 公庫 新規開業・スタートアップ支援資金(融資) | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) | -(特別利率あり) | 新規開業〜開業後おおむね7年以内 | 通年 |
数値・日程は2026-08-30時点の公式発表に基づきます(創業型第4回の受付開始日は本稿更新時点でも「準備中」表示で未公表)。申請前に各制度の公募要領で最終確認してください。
監修者DKメモ|元銀行員・FP2級
銀行員時代、創業者の資金計画で「補助金をあてにした売上計画」を何度も見ましたが、審査する側はその瞬間に警戒します。補助金は採択されるかわからない競争資金です。早見表は「もらえる前提」ではなく「採れたら上振れ」の位置づけで資金計画に組み込むのが正解です。
国の制度①:小規模事業者持続化補助金〈創業型〉
創業者向けの国の補助金で、現在の実質的な本命がこれです。販路開拓(チラシ・Web・看板・展示会等)の経費が対象になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限 | 200万円(インボイス特例で+50万円=最大250万円) |
| 補助率 | 2/3 |
| 核心の要件 | 特定創業支援等事業の支援を受けた日と開業日が、公募回ごとに指定される期間内であること |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請)のみ |
| 第4回公募 | 締切2026/12/15で確定(受付開始日は準備中。事務局サイトで随時確認) |
第4回の対象期間(支援日・開業日のウィンドウ)は公募要領第8版の原文で確認が必要です。出典: 持続化補助金〈創業型〉事務局、中小企業庁の公募告知。
注目すべきは要件です。市区町村の特定創業支援を受けていないと、そもそも申請できません。つまりこの補助金は「思い立ったら申請」ができず、後述の時系列導線を先に歩いている人だけが入口に立てます。制度全体の解説は持続化補助金の記事へ。
国の制度②:そのほかの国の制度は創業直後に使える?
正直に仕分けします。国の制度は名前が有名でも、創業直後には現実的でないものがあります。
- 新事業進出・ものづくり・商業・サービス補助金: 2026年に旧制度が統合。既存事業からの新分野展開が軸で、創業直後は実績面でハードルが高め
- 中小企業省力化投資補助金: 券売機・自動精算機・予約システムなど「人手不足対応の設備」が対象。開業前の「人手不足の状態」の説明がしづらく、開業して営業実績を積んでからの方が計画が書きやすい
- デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金): 予約・決済・会計ソフト等が対象。創業直後でも使える場面あり
- 厚労省系の雇用助成金(キャリアアップ助成金等): 人を雇う場合のみ関係する。ひとり開業なら現時点では対象外
「創業直後の販路開拓は持続化〈創業型〉、ツール導入はデジタル化・AI導入、省人化設備は営業実績ができてから省力化投資補助金、雇用したら厚労省系」というのが実務的な整理です。
東京都の創業助成金(創業助成事業)を徹底解説
都道府県層の代表格です。正式名称は「創業助成事業」(東京都・東京都中小企業振興公社)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成上限 | 400万円(下限100万円)。事業費・人件費のみの申請は上限300万円、委託費は上限100万円 |
| 助成率 | 2/3以内 |
| 助成期間 | 6か月〜最長2年 |
| 対象者 | 都内で創業予定、または創業5年未満(経営従事が通算5年未満) |
| 前提条件 | 指定創業支援事業の利用が必須(TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援修了、特定創業支援等事業の支援、都・区市町村の創業制度融資利用など) |
| 採択予定 | 年間200件 |
| 令和8年度日程 | 第1回: 2026/4/7〜4/16(終了・9/1交付決定)。第2回: 2026/9/29〜10/8受付(2027/3/1交付決定) |
出典: 東京都報道発表(2026年2月)、TOKYO創業ステーション。指定創業支援事業の全リストは最新の募集要項PDFで確認してください。
計算例: 対象経費600万円の場合、600万円×2/3=400万円で上限に到達し満額になります。経費900万円を使っても助成は400万円まで。「経費の2/3、ただし400万円まで」と覚えてください。
注意点は2つ。第一に、申請書を書き始めてから気づいても遅い前提条件(指定創業支援事業の利用)があること。第二に、採択予定は年間200件で、応募が集中する競争審査だということです。採択される計画の作り方は採択率の記事を参照してください。
東京都以外にも、道府県・政令市に類似の創業助成制度があります。たとえば神奈川県は「中小企業生産性向上促進事業費補助金」に創業者成長支援枠(上限300万円)を設けるなど、都道府県ごとに独自の創業者向け枠を持つケースが増えています。公募時期・上限額は年度ごとに変わるため、まずはミラサポplus(経済産業省・中小企業庁)の補助金検索か、補助金データベースで開業予定地の都道府県名から探すのが近道です。
実は最強の入口:「特定創業支援等事業」を先に受ける
ここがこの記事の核心であり、他の解説記事にほぼ書かれていない点です。創業期の優遇制度は、市区町村の「特定創業支援等事業」を起点に連動しています。

特定創業支援等事業とは、産業競争力強化法に基づき認定市区町村(商工会議所等への委託を含む)が行う創業支援です。セミナーや窓口相談を原則1か月以上かつ4回以上受けると、市区町村から証明書が発行されます。この1枚で、次の4つの優遇が動きます。
- 会社設立の登録免許税が半減: 株式会社は資本金の0.7%→0.35%、最低15万円→7.5万円(合同会社は6万円→3万円)
- 創業関連保証の前倒し: 通常は事業開始2か月前からの信用保証を、6か月前から利用可能
- 公庫の貸付利率引下げ: 新規開業・スタートアップ支援資金の利率優遇
- 持続化補助金〈創業型〉の申請要件を充足: 国の本命補助金の入口が開く

つまり正しい順序は「創業前に受講開始→証明書取得→会社設立(減税)→補助金申請」です。設立登記を済ませてから受講しても、登録免許税の半減は戻ってきません。逆算すると、創業を思い立った日が特定創業支援の申し込み日です。
出典: 中小企業庁・登録免許税軽減、中小企業庁・制度概要PDF、認定市区町村の例として川崎市。支援回数・期間の要件は市区町村ごとに運用が異なるため、開業予定地の窓口で確認してください。
監修者DKメモ|元銀行員・FP2級
融資審査の席で、特定創業支援を受けてきた創業者の書類は一目でわかりました。数字の根拠が揃っていて、計画の穴を先に潰してあるからです。無料で受けられて、減税と補助金の入口までついてくる——受けない理由を探すほうが難しい制度です。
女性・若者の起業優遇:期待と現実
「女性 起業 補助金」で検索する方に、期待値の調整を含めて正直に書きます。女性”限定”の給付型補助金は、実は多くありません。現実解は次の組み合わせです。
- 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金: 女性・35歳未満・55歳以上は原則特別利率Aが適用。融資限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円)、設備資金は最長20年返済。出典: 日本政策金融公庫
- 東京都 若手・女性リーダー応援プログラム: 都内商店街での開業を対象に最大844万円(事業所整備費上限400万円+店舗賃借料3年分の補助)
- 一般制度の活用: 持続化〈創業型〉や都道府県の創業助成に性別要件はなく、女性も同条件で使える
融資は「返済がある」ため敬遠されがちですが、利率優遇つきの融資+返済不要の助成を重ねるのが、実際の女性起業家の資金調達の主流です。公庫融資の通し方は創業融資の記事で解説しています。
申請の流れと落とし穴(後払い・課税・交付決定前発注NG)

- 特定創業支援等事業に参加(創業前。証明書の受講要件を満たすには1か月以上かかる)
- 使える制度を洗い出す(補助金データベースと自治体サイト。GビズIDの取得を先に——発行に時間がかかり、Jグランツ申請の前提です)
- 創業計画書をつくる(融資と補助金で使い回せます。創業融資の記事の計画書がベース)
- 融資+補助金で資金計画を完成(自己資金の記事参照)

落とし穴は3つあります。
- 後払い: 採択されても入金は事業実施・実績報告の後。それまでの立替資金はつなぎ資金の記事で設計してください
- 交付決定前の発注は対象外: 契約・発注・支払いの順序を間違えた経費は1円も補助されません。詳細は申請の落とし穴の記事
- 課税: 受け取った補助金は法人税・所得税の課税対象です。補助金と税金の記事で圧縮記帳まで確認を
監修者DKメモ|元銀行員・FP2級
私自身、補助金採択から入金まで1年近く資金を立て替えました。審査する側だった経験から言えば、事業計画で最初に見るのは「入金までの資金繰りが持つか」です。後払いを織り込んだ計画は、それだけで信頼度が一段上がります。
よくある質問
Q. 個人事業主でも使えますか?
使えます。持続化補助金〈創業型〉も東京都創業助成も法人限定ではありません。ただし開業届や創業日の定義が制度ごとに異なります。
Q. 補助金と助成金は併用できますか?
同じ経費に二重で受けることは原則できません。経費を分ければ(例: 内装は都の助成、チラシは持続化〈創業型〉)組み合わせられる場合があります。併給調整の規定を各公募要領で確認してください。
Q. 創業前でも申請できますか?
東京都創業助成は「創業予定」でも対象です。持続化〈創業型〉は開業日が指定期間内にあることが要件で、公募回ごとに異なります。
Q. 採択率はどのくらいですか?
制度・回により変動します。公表数値の読み方と採択率を上げる実務は採択率の記事にまとめました。
まとめ:創業ステージ別チェックリスト
- 創業を思い立った日: 開業予定地の特定創業支援等事業に申し込む(受講に1か月以上必要)
- 会社設立の前: 証明書を取得してから登記(登録免許税が半減)
- 開業前後: 持続化〈創業型〉・都道府県の創業助成の公募日程を確認し、GビズIDを取得
- 資金計画: 自己資金+融資で開業し、補助金は「後から戻る上振れ」として設計(自己資金・開業で使える補助金一覧)
筆者は実際にこの順序で補助金の採択・交付を受け、無人店舗を開業しました。「創業補助金」という幻の制度名を探すのをやめ、4層の地図と時系列導線で動き始めてください。
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補助金の多くは開業届(または登記)が申請の前提です。フォーム入力だけで開業届・青色申告承認申請書を無料作成できるサービスを使えば、開業手続きは最短で済みます。
この記事の執筆・監修|DK(元銀行員・FP2級)
元地方銀行員(融資審査7年・医療機関向け融資専門)。FP2級・日商簿記2級・証券外務員。事業再構築補助金の採択・交付を受け、24時間無人のセルフ脱毛サロンを開業・運営。飲食店の開業・業態転換も経験。金融ライター歴10年以上・執筆数千本。
