制度解説

新事業進出補助金は終了→統合へ|採択率と後継制度を解説

新事業進出補助金は終了→統合へ|採択率と後継制度を解説

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新事業進出補助金(事業再構築補助金の実質後継)を調べているあなたに、最初にお伝えすべきことがあります。この補助金の単独公募は、第4回(締切2026年6月19日)ですでに終了しました。後継は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に統合され、統合後の第1回公募が進行中です。

筆者は前身の事業再構築補助金で採択・交付を受け、24時間無人サロンを開業した当事者です。制度の解説だけでなく、「採択された後に何が待っているか」まで実体験で書きます。

この記事で得られること
– 単独公募の終了と統合制度への移行スケジュールの正確な整理
– 補助上限750万〜9,000万円・付加価値額+4.0%などの要件の平易な翻訳(出典リンク付き)
– 第1〜3回の採択率推移(37.2%→35.4%→34.9%)と読み方
– 実採択者だけが書ける交付〜入金〜5年報告のお金と実務のリアル

結論を先に
1. 新事業進出補助金の単独公募は第4回で終了。第4回の採択発表は2026年9月頃(予定)
2. 後継の統合制度・第1回は受付開始8月31日・1次締切9月30日18:00・2次締切10月30日18:00の2段階。準備はここから逆算
3. 採択率は約35%前後で推移。採択はゴールではなく、後払いの資金繰りと報告義務への備えが本番

新事業進出補助金とは?事業再構築補助金の実質後継

新事業進出補助金の特徴図解

新事業進出補助金は、中小企業が既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業へ進出するための設備投資などを支援する制度です。2025年に事業再構築補助金の実質的な後継として始まり、中小機構の事務局が運営してきました。

事業再構築補助金と何が違うのか

観点 事業再構築補助金 新事業進出補助金
制度の背景 コロナ禍からの業態転換支援 平時の成長投資(新事業進出)支援
売上減少要件 あり(当初) なし
成長への要件 付加価値額の増加 付加価値額+賃上げをより明確に要求
現在の状況 新規公募終了 単独公募終了→統合制度へ

つまり「コロナ対応の特別措置」から「賃上げ・生産性向上とセットの平時制度」へ性格が変わった、というのが大きな流れです。筆者が採択された再構築補助金時代との違いも踏まえ、本記事では統合後まで一気に整理します。

【最重要】単独公募は第4回で終了。次は統合制度の第1回

新事業進出補助金から統合制度への移行スケジュール図解

事務局公式サイトのトップには、本補助金の公募が終了した旨が明記されています。ミラサポplusの制度ページでも同様です。「これから第5回に申請しよう」という情報は古いので注意してください。

第1〜4回の実績と統合第1回の日程

公募回 日程 状況
第1回 2025年 採択発表済み(採択率 約37.2%)
第2回 2025年 採択発表済み(約35.4%)
第3回 2025/12/23〜2026/3/26 2026/7/1に採択発表(約34.9%)
第4回(最終) 受付2026/5/19〜締切6/19 18:00 採択発表は2026年9月頃(予定)
統合制度 第1回 公募開始2026/6/29・受付開始8/31(月)・1次締切9/30(水)18:00・2次締切10/30(金)18:00(2026/7/17改定) 採択発表は2027年1月頃(予定)(2026/7/17改定、旧予定は2026年12月頃)

出典: 事務局 採択結果ページ第4回説明会資料PDF統合制度の公募スケジュールミラサポplus告知

第4回に申請済みの方は9月頃の発表を待つ段階、これから検討する方は統合制度・第1回(締切10/30)が現実の選択肢です。締切から逆算すると、事業計画づくりに使える時間は決して長くありません。

公募要領の要点:対象者・補助金額・要件

ここからは、終了した単独公募(第4回基準)のスペックを整理します。統合制度の新事業進出枠は概ねこの設計を引き継いでいるため、旧制度の理解=統合制度の予習になります。

補助金額と補助率(従業員規模別)

従業員数 補助上限 賃上げ特例適用時
〜20人 2,500万円 3,000万円
21〜50人 4,000万円 5,000万円
51〜100人 5,500万円 7,000万円
101人〜 7,000万円 9,000万円
  • 補助下限は750万円。つまり総投資額1,500万円以上の計画が実質的な入口です
  • 補助率は1/2(地域別最低賃金引上げ特例の適用で2/3)
  • 表中の「賃上げ特例」は、給与支給総額を年平均+6.0%以上かつ事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上とする、より高い賃上げにコミットした場合の上限引き上げです

出典: 事務局 第4回概要説明会資料PDF

個人事業主も対象。ただし「従業員0人」は対象外

個人事業主も申請できますが、従業員がいない事業者は対象外です。ほかに創業後1年未満、みなし大企業、課税所得が年平均15億円超の事業者なども対象外とされています(同資料)。

新事業進出要件:3点セットで判定される

  1. 製品等の新規性 — 自社にとって新しい製品・サービスであること
  2. 市場の新規性 — 既存事業と異なる市場に出ること
  3. 売上規模 — 新事業の売上高が総売上高の10%以上(または付加価値額の15%以上)となる計画

「今の店の2号店」は該当せず、「飲食店が製造・EC に進出」「Web事業者が無人店舗を開業」のような軸ずらしが対象です。筆者の実例(Web事業→無人サロン)は採択までの全記録で公開しています。

基本要件:数値コミットには「返還」がある

  • 付加価値額を年平均+4.0%以上成長させる計画
  • 1人あたり給与支給総額を年平均+3.5%以上引き上げ(未達の場合は返還要件あり)
  • 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上に(返還要件あり)
  • 一般事業主行動計画の公表(ワークライフバランス要件)
  • 金融機関要件(資金調達を伴う場合)

出典: 同説明会資料PDF

DK

監修者DKメモ|元銀行員・FP2級

銀行で審査する側だった経験から言うと、この「返還あり」の賃上げ要件は軽く見てはいけません。補助金をもらう前提で人件費を先に固定すると、売上が計画未達のときに二重に苦しくなります。賃上げ計画は「補助金がなくても耐えられる水準か」で引くのが私の考えです(筆者の見解)。

対象経費と「使えない」ケース

対象経費の主役は機械装置・システム構築費と建物費です。ほかに技術導入費・外注費・専門家経費などが認められます。一方で、次のようなケースは対象外です。

  • 対象外の事業: 農業などの1次産業そのもの、資産運用的な事業、企画だけ外注して自社で実施しない事業 など
  • 対象外の経費: 汎用性の高いもの(パソコン・車両等)、交付決定前に発注したもの
  • 対象外の事業者: 申請締切から16か月以内に事業再構築・ものづくり・本補助金で採択された事業者 など

出典: 第4回説明会資料PDF

特に「交付決定前の発注は対象外」は、実務で最も多い事故です。詳しくは補助金申請の落とし穴にまとめています。

採択率の推移と「受かる計画」【第3回は34.9%】

事業計画を検討する経営者の実写イメージ

採択率は37.2%→35.4%→34.9%と推移

公募回 応募 採択 採択率
第1回 3,006者 1,118者 約37.2%
第2回 2,350者 832者 約35.4%
第3回 1,212者 423者 約34.9%

出典: 事務局 採択結果ページ第3回結果概要PDFミラサポplus発表記事

第3回では応募が1,212者まで減る一方、採択率は35%前後で安定しています。なお第3回は米国関税措置の影響を受ける事業者176者が優先採択されており(結果概要PDF)、単純な「3人に1人」以上に計画の質の勝負になっています。採択率という指標の読み方自体は補助金の採択率まとめで解説しています。

審査は「書面+口頭審査」の2段階

審査は事業計画書の書面審査に加えて、オンラインの口頭審査(面接)が行われる設計です。書面が良くても、口頭で計画を自分の言葉で説明できなければ通りません。これが後述する「計画の丸投げが危険な理由」に直結します。

事業計画書は、公募要領に示された審査項目(新規性・市場性・実現可能性・政策点など)に一対一で答える構成にするのが定石です。加点項目(パートナーシップ構築宣言など)は公募回ごとに変わるため、原本での確認をお願いします。

【体験談】審査で見られたのは「実現可能性の裏付け」

筆者が前身の事業再構築補助金で採択された際の実感では、勝負を分けたのは事業の目新しさではなく裏付けの積み上げでした。

  • 事業計画書は、市場データ・立地・自分の経歴が一本の線でつながるまで書き直した
  • 電子申請は入力項目が多く、計画書とは別に丸1日単位の作業を見込んでおくべき量だった
  • 口頭審査(オンライン)では、計画書の数字の根拠と「うまくいかなかった場合どうするか」を重ねて聞かれた
DK

監修者DKメモ|元銀行員・FP2級

実際に申請してみると、審査は「加点を積むゲーム」ではなく「不安を消すゲーム」でした。審査員が引っかかりそうな点——本当に客が来るのか、途中で資金が尽きないか——を先回りして計画書の中で潰す。融資審査をしていた頃、稟議を通しやすい案件もまさにこの形でした。

【実体験】採択後こそ本番:交付から入金までのお金のリアル

新店舗の内装工事の実写イメージ

競合の解説記事のほとんどは「採択されるまで」で終わります。しかし実際に交付まで受け切った立場から言うと、本当に大変なのは採択後です。

申請から入金までの流れ図解

交付申請から入金までは長い

採択発表はスタートラインにすぎません。交付申請→交付決定→設備投資の実施(交付決定から14か月以内)→実績報告→確定検査を経て、ようやく入金です。筆者のケースでも、採択発表から実際の入金までには相当の期間がかかりました。

経費は全額「立て替え払い」──資金繰りが最大の壁

補助金は後払いです。数千万円規模の投資なら、その全額をいったん自己資金と融資で支払う必要があります。筆者も交付決定後の支払いピーク時には資金繰り表と毎週にらめっこでした。

実績報告・確定検査は「証憑の総力戦」

実績報告では、見積書(相見積を含む)・発注書・納品書・検収書類・請求書・振込記録まで、支出の一連の流れを書類で証明します。筆者は書類の抜けで差し戻しを経験しており、発注の段階から「報告に使う書類」として保管する運用に切り替えました。

入金後も5年間続く「事業化状況報告」

交付後は5年間、毎年の事業化状況報告が義務です。売上・付加価値額・賃金の実績を報告し続けるため、採択された計画の数字は5年間ついて回ります。ここまで見据えて計画の数字を置くべきです。

DK

監修者DKメモ|元銀行員・FP2級

私が一番伝えたいのはここです。補助金は「もらえるお金」ではなく「立て替えて、証明して、報告し続けた人に後から戻るお金」。それでも設備投資の負担が半分になる効果は大きい。この構造を最初から知っていれば、資金繰りで慌てることはありません。

コンサルに頼むべきか:実採択者の中立判定

上位の解説記事はほぼすべて申請支援会社のもので、結論は「無料相談へ」です。当サイトはコンサル案件への誘導を置かずに、実体験から中立に整理します。

自力申請 支援機関・コンサル活用
費用 0円 着手金+成功報酬(相場は要比較)
向く人 計画の数字を自分で説明できる人 書類作成の時間が取れない人
注意点 作業量は大きい(計画書+電子申請) 計画の丸投げは制度違反リスク

重要なのは、公式が「事業計画は申請者自身で作成すること」を明記し、高額な成功報酬請求や経費水増しなどの悪質業者へ注意喚起している点です(事務局公式サイト)。代筆された計画は口頭審査で答えられず、採択後の5年報告でも自分が苦しみます。頼むとしても「壁打ち相手」まで、が筆者の見解です。

後継「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」はどうなる?

統合後の制度は3つの申請枠で構成されます。旧・新事業進出補助金に相当するのは新事業進出枠です。補助上限額は従業員数によって段階的に変わるため、「7,000万円」などの最大値だけを見ると実際の枠を見誤ります。開業したての小さな店は多くが「1~5人」または「1~20人」の段(表の最上段)に該当する点に注意してください。

申請枠 従業員数 補助上限(賃上げ特例) 補助率
革新的新製品・サービス枠
下限100万円
1~5人 750万円(850万円) 1/2(小規模等2/3)
6~20人 1,000万円(1,250万円)
21~50人 1,500万円(2,500万円)
51人以上 2,500万円(3,500万円)
新事業進出枠
下限750万円
1~20人 2,500万円(3,000万円) 1/2(条件により2/3)
21~50人 4,000万円(5,000万円)
51~100人 5,500万円(7,000万円)
101人以上 7,000万円(9,000万円)
グローバル枠
下限750万円
1~20人 2,500万円(3,000万円) 2/3
21~50人 4,000万円(5,000万円)
51~100人 5,500万円(7,000万円)
101人以上 7,000万円(9,000万円)

出典: 統合制度 公式サイト第1回公募要領PDF(1.2版・令和8年8月)

  • 実施期間は新事業進出枠・グローバル枠で交付決定から14か月(革新的新製品・サービス枠は10か月)
  • 申請は電子申請のみ(GビズIDプライム必須)。IDの発行には1週間程度かかるため、未取得なら最初に着手を
  • 「ものづくり」側の考え方はものづくり補助金の解説、制度全体の中での位置づけは開業で使える補助金一覧補助金データベースで確認できます

他の主要制度との使い分け|投資額が小さいなら別の制度が正解のことも

新事業進出枠は補助下限750万円(総投資額1,500万円以上が実質の入口)と規模が大きい制度です。「投資額がそこまで大きくない」「創業したばかり」という場合は、他の制度のほうが現実的な選択肢になります。

制度 補助上限 向く場面
新事業進出枠(本制度) 7,000万円(特例9,000万円) 既存事業と異なる市場への大規模な設備投資
省力化投資補助金 750万円〜8,000万円(規模別) 既存事業の人手不足解消・省人化機器の導入
持続化補助金〈創業型〉 200万円(インボイス特例250万円) 創業1年以内・販路開拓中心の小規模な投資

「新事業への進出」という切り口が同じでも、投資規模が数百万円以内に収まるなら、審査・実績報告・5年間の事業化状況報告まで含めた負担が軽い持続化補助金〈創業型〉のほうが現実的なケースは多くあります。制度全体の見取り図は開業で使える補助金一覧で確認してください。

よくある質問

Q. 新事業進出補助金は終了したのですか?
単独制度としての公募は第4回(2026年6月19日締切)で終了しました。制度自体は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の新事業進出枠に引き継がれています(事務局公式)。

Q. 第4回に申請しました。結果はいつ分かりますか?
採択発表は2026年9月頃(予定)です(第4回説明会資料PDF)。

Q. 個人事業主でも申請できますか?
できます。ただし従業員0人の事業者や創業後1年未満の事業者は対象外です。

Q. 過去に事業再構築補助金で採択されていても申請できますか?
申請締切から16か月以内に再構築・ものづくり・本補助金で採択されている場合は対象外です。筆者のように交付から期間が経過していれば検討の余地があります。

Q. 採択されれば満額もらえますか?
採択は交付額の確定ではありません。交付審査で経費が減額されることがあり、支払いも後払いです。無人店舗開業での具体的な使い方は無人店舗の開業完全ガイドも参考にしてください。

まとめ:締切10月30日から逆算して動く

新事業進出補助金の単独公募は終わりましたが、挑戦の受け皿は統合制度の新事業進出枠として続いています。統合第1回は受付開始8月31日・1次締切9月30日18時・2次締切10月30日18時。GビズIDプライムの取得、金融機関への相談、事業計画の裏付けづくり——採択者の実感として、準備は締切の2か月前でも早すぎることはありません。

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この記事の執筆・監修|DK(元銀行員・FP2級)

元地方銀行員(融資審査7年・医療機関向け融資専門)。FP2級・日商簿記2級・証券外務員。事業再構築補助金の採択・交付を受け、24時間無人のセルフ脱毛サロンを開業・運営。飲食店の開業・業態転換も経験。金融ライター歴10年以上・執筆数千本。

運営者について

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DK 元銀行員・FP2級|補助金採択で無人サロン開業

地方銀行で法人融資・融資審査を7年担当(医療機関向け融資専門)。独立後は金融ライターとして10年以上・数千本を執筆。事業再構築補助金の採択・交付を受けて24時間無人のセルフ脱毛サロンを開業・運営中。飲食店の開業・業態転換も経験。「貸す側」「借りる側」「補助金を使う側」の3つの立場を実体験した視点で解説しています。保有資格: FP2級/日商簿記2級/証券外務員。