無人店舗・省人化

コインランドリー開業の補助金|使える制度と対象外になりやすい費用を解説

コインランドリー開業に使える補助金のイメージイラスト

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「コインランドリーの洗濯機・乾燥機代だけで1,000万円近くかかる——この機器代を補助金で軽くできないか」という相談は多いのですが、最初に正確な結論をお伝えします。コインランドリーは法律上「クリーニング業」ではありません。この一点が、使える補助金・使える融資の分かれ目になります。筆者は元銀行員として生活衛生関係の融資審査にも触れ、自らも無人型のセルフ脱毛サロンを事業再構築補助金で開業した経験から、無人・省人化ビジネスに共通する資金設計の型で整理します。

この記事で得られること
– コインランドリー開業費用の内訳と相場観(機器代・内装・物件取得)
– 「クリーニング業法の対象外」が意味する届出・融資面での違い
– 持続化補助金・省力化投資補助金で対象になりやすい経費/なりにくい経費の切り分け
– 無人型なら検討の余地がある新事業進出(旧・事業再構築)補助金という選択肢

結論を先に
1. コインランドリー(コインオペレーションクリーニング営業)はクリーニング業法の対象外で、厚生労働省の指導要綱に基づき保健所への届出等で運用されている
2. そのためクリーニング業向けの生活衛生貸付(特利)は基本的に対象外で、資金調達は日本政策金融公庫の一般の創業融資が中心になる
3. 補助金では洗濯・乾燥機本体は「機械装置費」として対象になり得る一方、汎用品や不動産購入費は対象外というのが公募要領の基本線

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コインランドリー開業の費用構造|機器代が主役になる理由

開業費用の内訳イメージ(総額2,000万〜2,500万円の例)
機器代(洗濯機・乾燥機)

約60%

内装・設備

約20%

物件取得

約15%

予備・運転資金

約5%

※比率は複数の業界情報をもとにした目安。店舗規模・機器台数で大きく変動する

※出典は本文末尾の「出典(一次情報)」を参照

複数の業界情報を突き合わせると、コインランドリーの開業には総額1,000万〜3,000万円程度、機器代を中心にした標準的なケースで2,000万〜2,500万円程度が目安とされています。内訳の中心は業務用洗濯機・乾燥機で、台数と機種のグレードで総額が大きく動きます。この「機器代が主役」という構造が、以下で説明する補助金の対象経費の考え方に直結します。

DK

監修者DKメモ|元銀行員・FP2級

融資審査の目線では、コインランドリーは「装置産業」に分類されます。機器という減価償却資産が売上を生む構造なので、事業計画書には稼働率の前提(洗濯・乾燥1回あたりの単価×台数×回転数)を数字で示せるかが説得力を左右します。感覚値ではなく、近隣店舗の料金表から逆算した数字を使ってください。

見落とされやすい費用|電気容量・給排水の工事費

機器代の相場ばかりが先に語られますが、実際に開業準備を進めると物件側のインフラ工事費が想定外の追加コストになりがちです。業務用の洗濯機・ガス乾燥機は家庭用とは桁違いの電力・ガス・給排水能力を要求するため、居抜きでない限り、多くの物件で電気容量の増設(高圧・動力電源の引き込み)や、床の防水・排水勾配工事、ガス管の増径工事が必要になります。

開業前に確認しておきたいインフラ要件
項目 確認すべきこと
電気容量 業務用洗濯乾燥機は動力(三相200V)を要求する機種が多く、物件の既存契約容量では不足するケースがある。増設は電力会社への申請と工事期間が必要
給排水 台数分の給水管・排水管の口径と、床の排水勾配・防水処理が必要。テナントの躯体によっては床工事だけで数百万円になることもある
ガス容量 ガス式乾燥機を複数台設置する場合、既存のガス管口径・供給圧力で足りるかをガス会社に事前確認する
換気・排湿 乾燥機の排気ダクトルートを物件の構造上確保できるか。無人運営前提だと湿気・臭気対策の換気設計も収益(回転率)に響く

これらの工事費は、業界情報でよく紹介される「総額1,000万〜3,000万円」という数字の中の内装・設備の枠に含まれるが、物件によって振れ幅が非常に大きい部分です。居抜き物件(前身が銭湯・クリーニング店・コインランドリーなど)であれば工事範囲を大きく圧縮できるため、物件選定の段階で電気・ガス・給排水の設備状況を不動産業者に確認しておくと、後工程での想定外の追加費用を避けやすくなります。

コインランドリーは「クリーニング業」ではない|届出と融資の分かれ目

ここが最も誤解されやすいポイントです。コインランドリー(コインオペレーションクリーニング営業)は、クリーニング業法上の「クリーニング業」には該当しません。クリーニング業法は溶剤や機械を用いて営業者が洗濯を「代行」する業態を対象にしており、利用者自身が機械を操作するセルフサービス形態は対象外とされています。

その代わり、厚生労働省が定めた「コインオペレーションクリーニング営業施設の衛生措置等指導要綱」により、施設・設備の衛生管理や、常駐または近隣に所在して緊急時に対応できる衛生管理責任者の配置など、運営面の指導が行われています。ドライクリーニング機を設置する場合は、有機溶剤の知識を持つ責任者の選任も必要です。具体的な届出様式や運用は都道府県・自治体の条例によって異なるため、出店予定地の保健所に開設前の相談をしておくのが安全です。

保健所届出とは別に、業務用ガス衣類乾燥機のような火気使用設備を新たに設置する場合は消防法上の届出も必要になります。消防法9条に基づき、火を使用する設備の設置基準は市町村の火災予防条例で定められており(東京都の例では入力17kW以上の乾燥設備が対象)、基準を超える設備を設置する際は設置の7日前までに「火を使用する設備等の設置届出書」を所轄消防署へ提出するのが一般的な運用です。基準値や様式は自治体条例によって異なるため、内装工事の着工前に管轄の消防本部へ確認しておくと、保健所と同様に二度手間を避けられます。

クリーニング業とコインランドリーの違い
クリーニング業(法対象) コインランドリー(法対象外)
営業者が洗濯を代行 利用者がセルフで操作
生活衛生貸付(特利)の対象 厚労省の指導要綱ベースで運用

→ コインランドリーは一般の創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金など)が資金調達の中心になる

この違いは資金調達に直結します。日本政策金融公庫には飲食店・理容業・美容業・クリーニング業など生活衛生関係の事業者向けに、通常より有利な金利が適用され得る「生活衛生貸付」があります。しかし対象業種の一覧にコインランドリー(コインオペレーションクリーニング営業)は明記されておらず、この特別枠は基本的に使えないと考えておくのが安全です。資金調達は新規開業・スタートアップ支援資金など一般の創業融資が中心になります。同制度は融資限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円)まで対応でき、現行制度では自己資金の数値要件も撤廃されています。自己資金の目安つなぎ資金の設計も合わせて確認してください。

自然光の差し込む清潔なコインランドリーの店内

持続化補助金は使える?対象になる経費・ならない経費

小規模事業者持続化補助金(常時使用する従業員5人以下が目安)は、上限50万円・補助率2/3、賃金引上げ特例やインボイス特例を併用すると最大250万円まで広がる補助金です。公募要領および複数の解説情報を突き合わせると、対象外経費として共通して挙げられるのは不動産の購入費、人件費、汎用性が高く事業以外にも転用できるもの(自宅兼用のPC等)です。一方、洗濯機・乾燥機のようにその事業に専用性が高い機械装置は「機械装置等費」として対象になり得ます。ただし発注・契約・支払いは交付決定後に行う必要があり、開業前にすでに発注・購入したものは対象外になる点に注意してください。「機器はリースで導入する予定」という場合、持続化補助金ではリース料・レンタル料も「借料」として補助対象になり得ます(補助事業期間を超える契約は按分)。ただしフランチャイズ本部との取引で生じる経費(加盟金・ロイヤリティ、本部指定業者からの購入等)は対象外とされているため、FC加盟での開業を検討している場合は、どの経費が自社発注扱いになるかを事前に本部・事務局へ確認してください。

制度 上限額/補助率 コインランドリーでの使いやすさ
持続化補助金(一般型) 上限50万円(特例併用で最大250万円)/補助率2/3 看板・デジタルサイネージ・一部の機械装置に。機器代全体をまかなうには小さい
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型) 従業員5人以下で上限500万円(賃上げ達成時750万円)/補助率1/2 登録カタログ製品のみが対象。業務用洗濯乾燥機の掲載有無は要最新確認
中小企業省力化投資補助金(一般型) 従業員5人以下で上限750万円(大幅賃上げ時1,000万円)/補助率1/2(小規模事業者は2/3) 個別設備導入・システム構築を広く対象。人手不足解消効果の説明が必要

省力化投資補助金は狙えるか|カタログ登録の確認が必須

中小企業省力化投資補助金には、あらかじめ登録された製品カタログから選ぶ「カタログ注文型」と、個別設備を柔軟に選べる「一般型」があります。上限額は従業員規模で段階的に決まり、従業員5人以下の小規模な事業者であれば、カタログ注文型で500万円(賃上げ達成時750万円)、一般型で750万円(大幅賃上げ時1,000万円)が目安です(カタログ注文型は2026年3月19日の改定で引き上げ済みの水準)。上限1億円という大きな金額が紹介されることもありますが、これは101人以上の事業者が大幅な賃上げを行った場合の上限であり、小規模なコインランドリー開業では現実的な上限は数百万円〜1千万円程度と見ておくべきです。加えてカタログ注文型は登録製品以外は対象外のため、業務用洗濯機・乾燥機が登録カタログに掲載されているかどうかを、申請直前に公式サイトで個別に確認する必要があります(本稿執筆時点では確認できませんでした)。いずれも申請要件が細かいため、認定支援機関への相談を前提に進めるのが現実的です。

機器をリースで導入する場合の扱いも押さえておいてください。省力化投資補助金では、通常のレンタル(賃貸借)なら借用にかかる経費(借料)自体が補助対象になり得ますが、ファイナンス・リース契約の場合はリース会社との共同申請が必要で、事業者が支払うリース料自体は補助対象外(対象になるのはリース会社が受け取る製品本体価格側)という違いがあります。契約前にどちらの形態になるか、リース会社・販売店に確認しておくと申請時に慌てません。

無人型なら新事業進出補助金という選択肢もある

既存事業からの業態転換や新分野展開でコインランドリーを開業する場合、旧・事業再構築補助金の後継である「新事業進出・ものづくり補助金」(制度の詳細はこちら)の対象になり得ます。筆者自身、無人型のセルフ脱毛サロンをこの系統の補助金(事業再構築補助金)で開業した経験があります(採択された全記録はこちら)。コインランドリーも無人・省人化型の店舗運営という点で構造が近く、既存事業とは異なる新市場への進出という要件に当てはまるケースがあります。ただし補助額が大きい分、審査も重く、事業計画書の作り込みが採否を分けます。

DK

監修者DKメモ|元銀行員・FP2級

無人・省人化ビジネスは「人件費がかからない」点が強調されがちですが、審査側が見るのはむしろ逆で、無人だからこそ発生する管理コスト(遠隔監視・トラブル対応・清掃委託)を計画にどう織り込んでいるかです。私が無人サロンを開業したときも、この管理コストの見積もりが甘い計画は説得力を欠くと痛感しました。

自治体独自の補助金も確認する

国の補助金は車両や不動産、汎用品を対象外にする傾向がありますが、自治体独自の創業支援補助金では機器代や物件取得費まで対象にする例があります。出店を検討している市区町村の商工課・産業振興課のページ、または開業で使える補助金一覧で紹介している探し方を参考に、地域の公募情報を個別に確認してください。

FC加盟か自営か|補助金の使いやすさにも差が出る

コインランドリーは、フランチャイズ(FC)加盟でも自営(独立開業)でも始められる業態です。無人店舗フランチャイズの記事でも触れていますが、コインランドリーでは特に補助金の使いやすさにFC加盟か自営かで差が出ます。前述のとおり、持続化補助金はフランチャイズ本部との取引で生じる経費(加盟金・ロイヤリティ、本部指定業者からの購入等)を対象外としているため、機器を本部経由でしか仕入れられないFC契約では、機械装置費として補助金を使える余地が狭くなりがちです。

比較軸 FC加盟 自営(独立開業)
立地選定・出店調査 本部のノウハウ・商圏調査を利用できる 自分で商圏分析から行う必要がある
機器の仕入れ 本部指定のメーカー・機種に限られることが多い 相見積もりで機種・価格を自由に比較できる
持続化補助金の使いやすさ 本部指定業者からの購入・加盟金・ロイヤリティは対象外 自社発注扱いになる経費は対象になり得る
継続コスト 加盟金に加えロイヤリティ・システム利用料等が継続的に発生 継続的な本部費用は発生しない一方、運営ノウハウは自力で蓄積

「機器選定や集客のノウハウがない状態から始めるのは不安」という場合はFC加盟に一定の合理性がありますが、補助金を機器代の一部に充てたいのであれば、自社発注できる自営(または、本部指定業者を使わない形態のFC)のほうが選択肢は広がります。契約前に、FC本部の資料で「機器の発注元は誰になるか」を確認しておくと、補助金の使える・使えないが後から判明する事態を避けられます。

資金計画の順序|補助金は「後から戻る」お金

補助金は原則後払いです。採択されても入金は実績報告のあとで、申請から1年近くかかることもあります。機器代のように開業日までに支払いが発生する費用は、自己資金と創業融資で先に組み、補助金は対象経費に絞って申請し、入金までの立替をつなぎ資金でカバーする設計が現実的です。

資金の種類 使えるタイミング コインランドリーでの位置づけ
自己資金 いつでも 融資審査での信用の土台。機器代の一部に充てる
創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金等) 開業前〜開業時 機器代・物件取得費など先払いが必要な費用の本体
補助金(持続化・省力化投資等) 採択後、実績報告を経て後払い 対象になり得る経費だけを切り分けて申請。入金までのつなぎが必要

主要制度の採択率申請前に知っておきたい落とし穴も合わせて確認しておくと、計画の精度が上がります。

よくある質問

Q. コインランドリーの洗濯機・乾燥機は補助金の対象になりますか?
持続化補助金では「機械装置等費」として対象になり得ますが、汎用性が高いと判断される設備や、開業前にすでに発注・購入したものは対象外です。省力化投資補助金(カタログ注文型)は登録カタログ製品に限られるため、最新のカタログで個別確認が必要です。

Q. コインランドリーは生活衛生貸付を使えますか?
コインランドリー(コインオペレーションクリーニング営業)はクリーニング業法上のクリーニング業には該当しないため、生活衛生貸付の対象業種一覧には含まれていません。資金調達は日本政策金融公庫の一般の創業融資が中心になります。

Q. 無人型のコインランドリーでも許認可は必要ですか?
必要です。クリーニング業法の対象外ではありますが、厚生労働省の指導要綱に基づき、衛生管理責任者の配置など運営面の要件があります。ガス式乾燥機のような火気使用設備を設置する場合は、別途消防法上の届出も必要です。具体的な届出方法は自治体ごとに異なるため、出店予定地の保健所・消防署に開業前の相談をしてください。

Q. 機器をリースで導入する場合、補助金は使えますか?
制度によります。持続化補助金はリース料を「借料」として補助対象にできる場合があります。省力化投資補助金は、通常のレンタルなら借料が対象になり得ますが、ファイナンス・リース契約の場合はリース会社との共同申請が必要で、事業者が支払うリース料自体は対象外です。契約前に販売店・リース会社へ形態を確認してください。

Q. 個人事業主でも申請できますか?
持続化補助金・省力化投資補助金・創業融資はいずれも個人事業主が申請できます。ただし持続化補助金は申請時点で開業日を迎えていることが前提で、開業前の「創業予定者」は対象外です。

まとめ|「クリーニング業ではない」を起点に資金計画を組む

コインランドリーは法律上クリーニング業ではないため、生活衛生貸付のような業種特化の優遇融資は使えません。一方で、機器代の一部は持続化補助金の機械装置費として、大規模な省力化投資は省力化投資補助金や新事業進出補助金として、それぞれ検討の余地があります。まず一般の創業融資で資金計画の土台を固めたうえで、対象になり得る経費だけを補助金の申請に切り分ける——この順序が、装置産業であるコインランドリーの資金計画では特に重要です。


出典(一次情報): 厚生労働省 コインオペレーションクリーニング営業施設の衛生措置等指導要綱/厚生労働省 クリーニング業法概要/日本政策金融公庫 生活衛生貸付(一般貸付)/日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金/中小企業省力化投資補助金 公式サイト/中小企業省力化投資補助金 カタログ注文型/小規模事業者持続化補助金 商工会議所地区事務局

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この記事の執筆・監修|DK(元銀行員・FP2級)

元地方銀行員(融資審査7年・医療機関向け融資専門)。FP2級・日商簿記2級・証券外務員。事業再構築補助金の採択・交付を受け、24時間無人のセルフ脱毛サロンを開業・運営。飲食店の開業・業態転換も経験。金融ライター歴10年以上・執筆数千本。

運営者について

DK

DK 元銀行員・FP2級|補助金採択で無人サロン開業

地方銀行で法人融資・融資審査を7年担当(医療機関向け融資専門)。独立後は金融ライターとして10年以上・数千本を執筆。事業再構築補助金の採択・交付を受けて24時間無人のセルフ脱毛サロンを開業・運営中。飲食店の開業・業態転換も経験。「貸す側」「借りる側」「補助金を使う側」の3つの立場を実体験した視点で解説しています。保有資格: FP2級/日商簿記2級/証券外務員。