制度解説

ホームページ・看板・チラシに使える補助金|販促費の正解を解説

ホームページ・看板・チラシに使える補助金|販促費の正解を解説

本記事はアフィリエイト広告を含みます

「ホームページも看板もチラシも作りたい。補助金でなんとかならないか」——開業準備で誰もが一度は考えることです。結論、販促費に使える補助金の本命は持続化補助金ですが、ホームページだけでは申請できないという重要なルールがあります。

筆者は補助金の採択・交付を受けて無人サロンを開業し、開業時には広告費だけで約150万円を使いました。制度のルールと「実際に効いた販促・無駄だった販促」の両方から解説します。

この記事で得られること
販促手段×使える制度の対応表(HP・看板・チラシ・SNS広告がどの制度のどの経費区分か)
– 持続化補助金のウェブサイト関連費の罠(上限30万円・単独申請不可)の正確な理解
– デジタル化・AI導入補助金でHPが原則対象外である理由と例外
– 開業広告150万円の実体験から見た「補助金で何を作るべきか」の優先順位

結論を先に
1. HP・看板・チラシの本命は持続化補助金。ただし看板・チラシは「広報費」、HPは「ウェブサイト関連費」で、どちらも単独申請不可・上限30万円(税込)
2. デジタル化・AI導入補助金では、情報発信目的のHP制作は原則対象外
3. 市区町村の独自助成(HP作成1/2補助など)が上乗せ候補。まず自分の自治体名で検索

販促手段×使える制度の対応表

ホームページ・看板・チラシ等の販促手段と使える補助金の対応図解

まず全体像です。「何を作りたいか」から逆に引ける対応表を作りました。

作りたいもの 本命の制度 経費区分 注意点
ホームページ・ECサイト 持続化補助金 ウェブサイト関連費 単独申請不可・上限30万円(税込)
看板(作成・設置) 持続化補助金 広報費 単独申請不可・上限30万円(税込)
チラシ・パンフ・DM 持続化補助金 広報費 同上。未配布分は対象外
SNS広告・ネット広告 持続化補助金 広報費 運用代行費も対象例に明記
予約システム・顧客管理 デジタル化・AI導入補助金 ITツール導入費 HP制作そのものは原則対象外
HP作成(小規模・上乗せ) 自治体の独自助成 制度による 例: 江戸川区は1/2補助・上限10万円
広告費全般(東京都内で創業する場合) 東京都 創業助成事業 事業費(広告費) 上限30万円の縛りなし。ただし都の創業支援プログラム修了が要件

出典: 持続化補助金 第20回公募要領(第8版)デジタル化・AI導入補助金 公式サイト江戸川区 販路拡大支援事業助成金東京都 創業助成事業

持続化補助金の全体像(補助上限50万円+特例で最大250万円、補助率2/3)と申請の流れは完全ガイドで解説しています。この記事では「販促費」に絞って深掘りします。

なお都内で創業する場合は、東京都(東京都中小企業振興公社)の創業助成事業も広告費の受け皿になります。助成限度額は上限400万円・下限100万円(事業費・人件費のみなら上限300万円)、助成率2/3以内で、対象経費(事業費)に広告費が明記されています。持続化補助金のような「上限30万円・単独申請不可」という縛りがない一方、都の創業支援プログラムの修了などが申請要件になっており、誰でもすぐ使えるわけではありません。両制度は併願できるかどうかも含め、詳細はTOKYO創業ステーションの公式ページで最新の募集要項を確認してください。

持続化補助金でホームページを作る:ウェブサイト関連費の罠

持続化補助金ウェブサイト関連費の3つのルール図解

販促目的のHP・ECサイト制作は、持続化補助金の「ウェブサイト関連費」に計上します。ここに、制作会社の営業トークでは語られにくい2つの制約があります。第20回公募要領(第8版)の原文ベースで確認しましょう。

罠1: ウェブサイト関連費のみでは申請できない

公募要領には「ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください」と明記されています。

つまり「HPを作りたいから持続化補助金を申請する」は、それ単体では成立しません。チラシ・看板・設備などを含む販路開拓の計画全体を作り、その一部としてHPを組み込む設計が必要です。

  • 組み合わせ例: 「開業チラシ+看板(広報費)+予約機能つきHP(ウェブサイト関連費)」
  • 組み合わせ例: 「新メニュー用の設備(機械装置等費)+告知用HPリニューアル」

なお、広報費とウェブサイト関連費の2区分だけの組み合わせで足りるかは公募要領に明記がなく、解釈が分かれています。筆者は機械装置等費など別区分も含めた計画を推奨します。

罠2: 上限は30万円(税込)。「50万円のHP」は満額出ない

ウェブサイト関連費として交付申請できる額は上限30万円(税込)です。80万円のHPを外注しても、この区分で補助対象にできるのは30万円まで。

なお、以前の公募回では「補助金交付申請額の1/4まで」という割合ルールでした。第20回から定額30万円の上限に変わったとされます。古い解説記事の「1/4ルール」をそのまま信じないよう注意してください。

ウェブサイト関連費で認められるもの・認められないもの

対象になる例(公募要領記載) 対象にならない例
商品販売のための自社HP作成・更新 補助事業期間内に運用に至らなかったHP・LP
効果や作業内容が明確なSEO対策 既に導入しているソフトの更新料
ECサイトに載せる宣材写真の制作 サイト関連のコンサル・アドバイス費用
予約・顧客管理などのシステム開発 有料配信する動画の制作費

HPやECで使う動画・写真の制作費も広報費ではなくウェブサイト関連費に計上するルールです。区分を間違えると経費が認められないリスクがあるため、申請書類の書き方は事業計画書の記事を参考にしてください。

DK

監修者DKメモ|元銀行員・FP2級

融資審査をしていた頃から感じますが、「箱(HP)を作ること」が目的化した計画は弱いのです。審査で評価されるのは「誰に何を売るためにHPが必要か」の一貫性。上限30万円という制約は、むしろ計画全体を練り直す良いきっかけになります。

看板・チラシは「広報費」:対象と対象外を正確に

店舗の看板を取り付ける職人の実写イメージ

看板・チラシ・SNS広告は、持続化補助金では「広報費」に計上します。公募要領の対象経費例には「看板作成・設置」「チラシ・カタログの外注や発送」「SNS広告、運用代行費」が明記されています。

広報費もウェブサイト関連費と同じ構造の制約があります。

  • 広報費のみによる申請は不可(ほかの経費との組み合わせ必須)
  • 交付申請額の上限30万円(税込)

さらに、広報費で意外と落とされやすいのが次の対象外パターンです。

対象外の例 理由
名刺 販路開拓ではなく通常の営業活動
求人広告・会社案内パンフ 商品・サービスの宣伝が目的でない
商品名・宣伝文句の入っていない看板 単なる会社PRは対象外
配り終わらなかったチラシ 未配布・未使用分は対象外
金券・商品券 広報物に該当しない
街頭ビジョン・デジタルサイネージ広告への掲載 公募要領の対象外リストに明記(店頭のデジタル看板そのものではなく、そこに映す広告出稿費が対象外という整理)

「チラシを1万部刷ったが5,000部しか配れなかった」場合、残り5,000部分は補助対象外です。補助事業期間内に配りきれる部数で計画するのが実務の鉄則です。

また、屋外に看板を設置する場合は、補助金とは別に自治体の屋外広告物条例に基づく許可・届出が必要になることがあります。店舗の外装・内装工事とあわせて行うなら店舗改装に使える補助金も参考にしてください。

デジタル化・AI導入補助金では、HPは原則対象外

「IT導入補助金(現・デジタル化・AI導入補助金)でHPが作れる」という営業を受けたら、一度立ち止まってください。

この制度の目的は業務プロセスのデジタル化・生産性向上であり、情報発信を目的とするホームページ制作(デザイン・コーディング・CMS構築)は原則として補助対象外と整理されています。

  • 対象外: 会社紹介・集客目的のHP制作、既存サイトのリニューアル
  • 対象になり得る: 予約管理・顧客管理・決済・ECなど業務機能を持つITツールの導入(その場合も補助されるのはツール部分)

つまり「見せるためのHP」は持続化補助金、「業務を回すシステム」はデジタル化・AI導入補助金、という住み分けです。無人店舗のように予約・決済システムが主役の業態なら、後者が本命になります(無人店舗の開業ガイドで詳述)。

自治体の販促補助:市区町村の「上乗せ」を探す

国の補助金に加えて、市区町村が独自にHP・販促の助成を出していることがあります。実例を1つ挙げます。

制度 内容 出典
江戸川区 販路拡大支援事業助成金 HP作成・改修: 補助率1/2以内・限度額10万円(EC機能追加・多言語対応は20万円)。企業紹介動画(10万円)・展示会出展も対象 江戸川区公式

このほか東京23区では、HP作成費の1/2・上限20〜30万円程度を助成する区が複数あるとされます。商店街単位では東京都の商店街助成のような制度もあります。

探し方は簡単で、「自治体名+ホームページ作成+補助金」「自治体名+販路開拓+助成」で検索し、条件は自治体公式サイト(ドメインがlg.jpなど)で確認します。金額は小さくても、国の補助金より申請が軽く、競争率も低い傾向があるのが利点です。

実体験:開業広告150万円の内訳と学び

チラシのデザインを確認する店主の実写イメージ

制度の話だけでは「で、何にいくら使うべきか」が見えないので、筆者の実例を出します。無人サロン開業時、広告費は約150万円を集中投下しました(開業費用の全内訳はこちら)。

販促手段 概算 結果(筆者の体験)
Instagram・LINE広告 主力として投下 開業直後の認知づくりに機能。集客の中心に
ホットペッパー掲載 半年で約50万円 費用対効果をほぼ感じられず。最も無駄だった出費
その他(制作物等) 残額 Web予約への導線づくりに使用

※効果は業態・地域・プランで異なります。上記は筆者の店舗での体験に基づく見解です。

この経験から言える販促費の優先順位は、「固定掲載料より、止めたいときに止められる運用型」です。ポータルサイトの掲載料は半年〜1年契約の固定費になりがちですが、SNS広告は効果を見ながら日次で調整できます。

そして補助金との関係で最重要なのが時系列です。補助対象になるのは交付決定日以降に発生した経費だけ。開業日に間に合わせようと交付決定前に看板やHPを発注すると、その瞬間に補助対象から外れます。この失敗パターンは申請の落とし穴の記事採択後の手続きの記事で詳しく解説しています。

DK

監修者DKメモ|元銀行員・FP2級

実際に開業してみると、広告は「出稿すること」より「やめる判断」が難しい。ホットペッパーも契約期間中は費用対効果が悪くても止められませんでした。補助金で初期販促費を軽くしつつ、固定契約は最小限から始める——これが両方を経験した私の結論です。

補助金を使う前に:0円でできるGoogleビジネスプロフィールの整備

HPや看板に予算を投じる前に、まず済ませておくべき無料の対策があります。Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)への登録です。店名・住所・営業時間・写真・メニューを登録しておくだけで、「地域名+業種」の検索結果やGoogleマップに店舗情報が表示されるようになり、費用をかけずに新規客の目に触れる機会が増えます。持続化補助金でHP制作を計画する場合も、GBPの登録・写真の充実・口コミへの返信は補助金の交付決定を待たずに今日から着手できる数少ない販促施策です。HP完成前の空白期間の集客窓口としても機能するため、外注・自作を問わずHP計画と並行して整備しておくことをおすすめします。

自作(ノーコード)と外注、どちらにするか

HPについては「そもそも外注すべきか」から考える価値があります。今はSTUDIO・Wix・ペライチのようなノーコードツールで、月数千円からHPを自作できる時代だからです。

観点 自作(ノーコード) 外注+補助金
初期費用 0〜数万円 30万〜100万円程度(相場は幅あり)
補助金 月額利用料は原則なじまない ウェブサイト関連費で上限30万円
スピード 最短。開業前でも作れる 交付決定を待つと数か月単位
向くケース 開業直後・まず名刺代わりの1枚 EC・予約・多言語など要件が重い場合

判断の目安はこうです。

  • 開業前後でとにかく早くHPが欲しい → まず自作。補助金は交付決定を待つ必要があり、スピードで負けます
  • EC・予約システムを含む本格サイト → 外注+持続化補助金(またはシステム部分をデジタル化・AI導入補助金)
  • 迷ったら → 自作で開業し、売上が立ってから補助金でリニューアルする二段構え

補助金は後払いです。外注する場合も、いったん全額を立て替える資金が必要になる点は忘れないでください(資金繰りは開業補助金ガイドで解説)。

DK

監修者DKメモ|元銀行員・FP2級

銀行員の目線で付け加えると、「補助金が出るから」と販促費を膨らませる計画は本末転倒です。補助率2/3でも1/3は自己負担。30万円の看板は、補助金があっても10万円の実費です。売上計画から逆算して、補助金がなくても払える範囲で設計してください。

よくある質問

Q. ホームページ制作だけで持続化補助金を申請できますか?
できません。ウェブサイト関連費のみによる申請は不可と公募要領に明記されています。チラシ・看板・設備など他の経費と組み合わせた販路開拓計画にする必要があります。

Q. 看板の作り直しは補助対象になりますか?
商品・サービスの宣伝を目的とする看板の作成・設置は広報費の対象例に明記されています。ただし単なる社名看板(宣伝要素なし)は対象外とされるため、デザインに商品・サービスの訴求を入れる設計が実務的です。

Q. チラシのポスティング費用も対象ですか?
チラシの外注・発送は広報費の対象例にあります。ただし補助事業期間内に配布したものに限られ、未配布分は対象外です。

Q. InstagramやLINEの広告費は?
SNS広告・インターネット広告・運用代行費は広報費の対象例に明記されています。上限30万円(税込)と単独申請不可のルールは同じです。

Q. 開業前でも申請できますか?
持続化補助金は開業済み(創業型は開業1年以内等の要件あり)が前提です。開業準備段階の人は開業で使える補助金一覧創業型の解説から全体像を確認してください。

まとめ:次にやること3つ

  1. 対応表で自分の販促計画を仕分ける — HP=ウェブサイト関連費/看板・チラシ=広報費。それぞれ上限30万円・単独申請不可を前提に組み合わせを設計
  2. 自治体名+補助金で検索 — 市区町村の上乗せ助成を探す(条件は公式サイトで確認)
  3. 発注は交付決定後とカレンダーに書く — 販促費で最も多い失敗は時系列ミス。採択後の手続きを先に読んでおく

制度の数値は最新の公募要領(第20回公募要領 第8版)で確認してください。第20回の申請受付は2026年11月5日〜12月15日17:00、事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は12月4日です。

PR ホームページ・ECサイトを補助金で作るなら

販路開拓の中心になる自社サイトは、要件を満たせば補助金の対象経費にできる場合があります。「ホームページDX」は事業者向けの本格的なサイト制作を、補助金活用の相談込みで依頼できます。

本格的な機能を搭載したホームページやECサイトが作成できる【ホームページDX】

この記事の執筆・監修|DK(元銀行員・FP2級)

元地方銀行員(融資審査7年・医療機関向け融資専門)。FP2級・日商簿記2級・証券外務員。事業再構築補助金の採択・交付を受け、24時間無人のセルフ脱毛サロンを開業・運営。飲食店の開業・業態転換も経験。金融ライター歴10年以上・執筆数千本。

運営者について

DK

DK 元銀行員・FP2級|補助金採択で無人サロン開業

地方銀行で法人融資・融資審査を7年担当(医療機関向け融資専門)。独立後は金融ライターとして10年以上・数千本を執筆。事業再構築補助金の採択・交付を受けて24時間無人のセルフ脱毛サロンを開業・運営中。飲食店の開業・業態転換も経験。「貸す側」「借りる側」「補助金を使う側」の3つの立場を実体験した視点で解説しています。保有資格: FP2級/日商簿記2級/証券外務員。